2008.5.22-23
【三重県】
京都を出発して日本海に出てまた戻り、琵琶湖の北側を回った次は伊勢志摩とは自分でもやり過ぎとも思いますが、ヒマなうちに行っておきたい場所をチェックしていると、スポットで残っていたので……
──当初は紀伊半島反対側の和歌山まで回ろうかと考えていましたが、そこはまたの機会に。
とは言え、これを実行に移せたのは「第二名神高速」が開通したからです。
琵琶湖の草津から伊勢湾の鈴鹿付近までを結ぶ道路で、東京方面から京都・大阪に向かう車は従来の道より近いと思われます。
しかし、すんごい高速道路ですよ!
名前に「名神」の名が付くので日本を代表する高速道路にしなければと、現在の最高技術を投入しているのでは? と思えるほど「贅沢な道路」になっています。
・タイヤが路面に吸い付くようなグリップ感と静かな高機能舗装(これは納得です)。
・一部区間の片側3車線、反対側の路線は2車線でもトンネルは同規格と思われます。
・サービスエリアに整地された広大な土地。
・もの凄く広い切り通し。 等々……
一度走ってみてくださいな、違いが分かりますから。
都心、地方のどちらにも必要な道路を作ることに反対する人はそれほど多くないと思われるのですが、こんなに贅沢な道路を必要と考える人がどれ程いるのでしょうか?
新しいルートの開設に反対する人も多くないと思われますが、その規格に対してわれわれはもっと関心を持つべきではないか、と思わされました。
二見浦(ふたみがうら)(Map)
神話の天照大神(あまてらすおおみかみ)は太陽の神様であるそうで、この夫婦岩の設計思想は、この岩の間から夏至の前後に日の出が拝めることを目指しているものだそうです。
神話のことを調べると、「常世の国(とこよのくに)」(「あの世」ではない様子)が海の彼方にあり、理想郷であり生死を超越するとされる概念が、古事記などの記述にあるのだそうです。これは沖縄の「ニライカナイ」にも通じるとの見解だそうです。
──大陸系、南方系のどちらが先か? などの議論は置いといて、日本人のもう一つの源流と思われる北方系にはどんな概念があったのだろうか? という興味がわいてきました。
基準がどこに置かれたのか分かりませんが「太陽の道」と言われる、北緯34度32分のライン上に古くからの遺跡が並んでいるのだそうです。
その仮説が正しいとすればそれはおそらく、夏至の太陽の通り道(日の出の位置)と基準とした星の位置(水平線から上がる位置など)から定められたのではないかと思われます。
──むかしは基準とできるモノは天空に求めるしか無かったと思われます。時計も日時計ですしね。
右の小さい方の岩は転石(てんせき:岩盤から転げ落ちた岩)と言うか「作り物だろ!?」との印象を受けました。
まあ、これは天然記念物ではないし、信仰の対象であるわけだから問題はないと思われますが……
調べてみると、大正時代に台風で破壊されてしまい、修復したものだそうです。それにしても、もうちょっと上手に直した方がいいのでは?
鳥羽水族館(Map)
上写真は「スナメリ」(イルカの仲間で、三河湾に棲息しているも数は少ないそうです)の子どもです。
スナメリの子どもがパニックになるからストロボ撮影禁止としても、「キャー、カワイイ!」と条件反射的にシャッターを押す人のストロボ付ケータイカメラ対策なのでしょう、観察用の大きな窓は壁に覆われていました。
これはプール上部から、もちろんストロボ無しで撮りました。
背びれはないのですが、その部分に黒い斑点の帯があったのが印象に残っています。
右はペリカンです。撮った時は「これは何でしょう?」とクイズにできそうだと思ったのですが、この写真だと分かっちゃいますね。
ここはビッグネームなので、水族館好きとしては行かねばという場所と思っていたのですが、取り立てて特徴があるとも思えず残念。
楽しみにしていたマナティも、もう少し近くで見せてもらたいところです。
自分でも感じましたが、いまどきは窓越しだけでは満足できなくなっているんですよね。
鳥羽の地は初めてですが、さすがメジャーどころの観光地だと驚くほどホテルがズラーっと並んでいます。これだけのホテルが満室になったら大変な騒々しさだろうと思われます。
はて、ここが人気の理由は、真珠? 温泉? それとも伊勢エビ?
御座(ござ)岬(Map)
英虞(あご)湾の南側に続く前島半島先端の御座(ござ)岬を目指して走っている時、フッと決心がつき「東京に戻ろう」と決めました。
大した絵ではありませんが、それを書くために掲載しました。
ログハウスのコテージが並ぶような宿に泊まり、焼いた伊勢エビを食べたいと思い(自慢してスミマセン。美味しかった!)バーベキューを選択し、宿の方に焼いてもらいながらあれこれ話す機会が持てました。
「今日はお伊勢さんには行かれたんですか?」
「前に行ったことあるので……」(わたしは常々、伊勢神宮は「一度行けば十分」と思っていたんですが、空気を感じ口にできず……)
「明日は、お伊勢さんに行かれるんですか?」
「答志島へ行こうと思ってます」
「……」(こいつ伊勢神宮に行かないつもりなのか、と思われたようです)
伊勢神宮はもちろん地元の誇りなのでしょうから、変なこと言わなくて良かったと……
また、G.W.には志摩スペイン村がにぎわいを取り戻して良かったとの話しもされていましたが、地元の思いというのは切実なものがあると、「あんな所、行くかよ!」と思っている身にも、しみいってきました……
賢島(かしこじま)(Map)
京都発の近鉄特急に、ここ志摩の「賢島」行きの路線があり、一度電車で来てみたいと思っていたのですが、もう無理かなぁ。
近鉄(近畿日本鉄道)の路線図を見てビックリしたのは、大阪、京都、名古屋を結ぶばかりか、伊勢志摩、奈良、吉野という主要な観光地を網羅する路線を営業していることです。こりゃ日本一かと思ったら、売り上げトップは東急なんだそうです。
営業距離はそれ程でもないことはご存知でしょうから、それはひとえにみなさんがギュウギュウ詰めで乗ってくれるおかげ、ということなんでしょう。
答志島(Map)
小女子(こうなご:イカナゴの稚魚でしらす(じゃこ)より少し大きい─わたし好きです)漁の時期らしく、集落のほうぼうから湯気が立ち上がっています。
倉庫のような加工場で魚をゆでていて、そのムーッとした熱気を吸い込むと、あったかいご飯の上にのせたシラスのにおいを思い出し、うなぎ屋の店先ではありませんが、それだけでご飯が食べられそうな気持ちにさせられます。
その加工場は、一家総出もしくは近所の人の手によって営まれているらしく、あちこちで常に人がウロチョロしている姿を目にすることができて「活気のある島」との印象が強く残り、いいときに来たと思っています。
扉などに丸八(円の中に八の文字)と書かれた建物が目につき、それもマジックなどで走り書きされた落書き(?)のようにも見えるので、地区や組合などの屋号かと思いましたが、これは八幡神社の魔よけの印なんだそうです。
見てくれではありません、要は気持ちがこもっているかですよね……
右上写真は美多羅志神社の参拝所で、玉石の上にござが敷かれてありここから拝するようです。
この様式には、沖縄の御嶽にも通じる素朴さと慣習を重んじる人々の誠実さが感じられ、この島にはまだ神話の時代から受け継がれている「文化」が他にもあるのではないか、と思わされます。
伊勢神宮のおひざ元とはいえ、大きくはありませんが島民の気持ちがこめられたたたずまいと拝しました。
すぐ隣に潮音寺というお寺が並んでいるのは、土地がない島の事情ということで……
ここ伊勢志摩の方たちからは、誠実さというものが感じられると思います。
伊勢神宮という全国からうやまわれるお宮さんの地元という「自負」の気持ちが、人々の心を律していると言えるのではないでしょうか。
橋のたもとの「あんこ屋」を恥じる気持ちは、誰よりも地元の方が最も悔しい思いをされたのではないか、と思われます。
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