2013年10月3日木曜日

富士山麓水の恩恵──三島・富士

2013.9.23
【静岡県】

 静岡県は、接する神奈川県育ちのせいか「いつでも行ける」意識から、富士・伊豆周辺以外は後回しとなっていました。
 品川〜三島はひかりで30分程度の近場感が逆に、近くて遠い場所としたのかも知れません。


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三嶋大社(Map)


 三島で最初に染み込んできたのは「豊かな水」の印象で、富士山から流れ出た「三島溶岩」は先端の地に、堅固な地盤と伏流水の恵みをもたらしました。
 豊かな湧水が人々を呼び寄せたようです。

 源頼朝(伊豆流刑時)に盛り立てられ信仰を集めた三嶋大社では、全国に認知された「三島暦(ごよみ)」編さんのための天文台が設けられたそう。
 三嶋大社の門前町から東海道の宿場町として栄え、良質な水を必要とする工場(東レ、東芝、オムロンや、裾野・御殿場にある工場関連企業)の力で、新幹線駅を誘致したようです。

 町には品の良さが感じられるものの道が狭いため、最終日(金曜日の夕方)の混雑には閉口させられました。


柿田川(Map)


 ご存じのように、地下溶岩の中を流れる富士山麓の雨水を水源とする、日本三大清流(長良川、四万十川)とされる清流ですが、全長1.2kmの先で狩野川に合流します。
  国道1号線脇の場所柄には驚きましたが、溶岩に守られた地下水は周囲の影響を受けない様子が絵から伝わると思います。


 右の人工物は、以前この地にあった製紙工場のくみ上げ施設で、一時は排水による水質悪化で魚も住めない状態だったと。
  1980年代から地元有志による工場移転運動や清掃活動が行われ、カワセミ等も生息する環境が再生されます(現在では東京でも見られますが)。
 市街地で自然の恵みに接することができるのは、郷土の誇りとして胸を張れます。


沼津港魚市場(Map)


 昼食は「沼津港で桜エビ!」と気合いを入れるも、連休で盛り上がる人たちが押し寄せ、交差点から港に入れない大混雑。
 ですが市場関係者も慣れたもので、市場周辺のスペースを全部観光駐車場に解放して、対応してくれます。
 いくら人が出ても、ご当地の「桜エビ」「シラス」「金目鯛」あたりにターゲットを絞れば、満足感を得られそうです(イメージは無かったが、マグロもあるようです。冷凍ですもの…)。


 上は一本入った通りですが、この裏の通りも店舗建設中の「イケイケ!」とは、うらやましい限りです(東京圏の来客も期待できる絶好の場所柄)。
 わたしを含めて「満足感」が口コミで広まりますから、期待を裏切らない限り今後も活気が高まりそうです。


田子の浦港(Map)


 高度成長期には「田子の浦=ヘドロの海」の印象が強く、ゴジラやウルトラマンにヘドロ怪獣が登場した時代がありました。
 豊かな富士山麓の水を求めて集まった工場群は健在で、一帯の絵から小学校で学んだ(?)「太平洋ベルト地帯」の響きがよみがえります。近ごろは「ベルト」に「地帯」の意味が含まれるため「地帯」を省くらしいが、今さら記憶の修正はできません。
 三つ子の魂のように、ガキ時分に接した公害の負のイメージは払しょくできませんが、現在の富士市内商店街の活気には工場群が不可欠であること、よく理解できました。


 郊外に並ぶ工場の中に「平家越え」という場所(石碑と橋)があります。
 伊豆で挙兵した源頼朝(1180年)と、その追討に向かう平家軍がにらみ合ったのが富士川の地でした。
 しかし、平家軍は川から飛び立つ水鳥の音を夜襲と勘違いして、戦わずに敗走します(「おごる平家…」転落の序曲)。

 富士川河口付近には現在も細い水路が残されていますから、それらを束ねて河口州とすると、広大な湿地帯が広がっていたことになります。


富士川河口(Map)


 鎌倉時代の富士川河口は田子の浦港付近らしく、富士川の渡しは現在の富士駅北側辺りとされます。
 江戸時代以前には、渡し船賃はタダ(街道を整備した源頼朝が徴収を禁止)という、交易推進策(?)があったようです。

 学生時代に、所属学科有志等による「富士川団体研究会:地質研究を目指す集まり」に何度か参加したことがあります。
 「観察する目」を教えてもらったと感謝していますが、記憶に残るのは、ずぶぬれになって滝を上ったこと、宴会で騒いだこと、と言ったら諸先輩に怒られそうですが、もうあんなことはできません……
 


追記──連続テレビ小説「あまちゃん」終了

 楽しい半年でした。
 キョンキョン大爆発!(ケツをまくった役、やりたかったんだろうなぁ〜)
 どこを切っても、とぼけたカワイイおばちゃん、薬師丸ひろ子!
 キレイな「ばっば」宮本信子さん。(特に八木亜希子の笑顔は忘れられない)。
 どのキャラも痛快で、出演者全員から演じる楽しさがあふれ出ていて、めざましタイマーのテレビからテーマ曲が聞こえると「パチッ!」と目覚めたものです。

 音楽も見事でしたが、特筆すべきは原作・脚本の宮藤官九郎(クドカン)の力です。
 伏線より強い力を持つ「前に見た状況」を繰り返すことで、以前感じた「見る側の思い」を引き出し「今度は違うのか?」とテンションを高めて、「時間」と「状況」の違いを表現する説得力には舌を巻きました。
 演出への注文が多かったというか、ほとんどクドカン的演出だったのが勝因でしょう。

 注目される被災地への視線は、夏ばっばの「おかまいねぐ」に集約されているように感じます。
 その言葉には、悲しみ、苦難、不安を乗り越えようと自分を叱咤する「心意気」や、感謝の気持ちが込められているのであろうと……

 ファンでない人もよろこんだ楽天イーグルスの優勝もあり、今年のMVPはマー君か、クドカンか悩むところです……

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